個人事業主が会社を設立し、法人化することを「法人成り」と言います。個人事業主は会社設立の手続きをすることで法人化することができます。最初から会社を設立する場合との違いは、個人事業主であった期間の資産を引き継ぐかどうかです。通常、会社を設立するときは登記の際の資本金が事業の運転資金となりますが、法人成りでは資産を引き継ぐことができます。ただし、負債も一緒に引き継がなければなりません。
法人成りによって会社を設立し社会的信用が増すと、ステークホルダーとの関係性が強化されます。これは資金調達などで重要になります。事業拡大を考えている個人事業主にはチャンスとなるでしょう。
最初から会社を起こすのも法人成りするのも、新規に会社を設立するという意味では同じことです。しかし、法人成りは個人事業主で培った事業や資産、人脈などを設立した会社へ引き継ぐことができる大きなメリットがあります。通常、新規で会社を起こす場合、その会社が保有するものは設立時の資本金のみとなりゼロからのスタートになるわけです。その点、法人成りではそれまで個人で行っていた事業の顧客、現預金、売掛金、貸付金など金銭や備品、建物、車両などの資産を設立した会社で引き継いでスタートすることができます。まったくの新規で会社を起こすより法人成りの方が有利な条件で事業が開始できます。
会社設立と聞くと、ほとんどの人が株式会社を想像するでしょう。ですが、法人には株式会社の他にも、合同会社、合資会社、合名会社などがあります。最近は設立費用が安い合同会社が人気です。株式会社と合同会社は、出資者が出資した金額が限度となる有限責任での社員責任がありますが、合資会社や合名会社だと、全財産を投じて責任を果たさなければならない無限責任となる点に注意が必要です。出資する側からすると株式会社や合同会社はメリットが多く、また、たくさんの人から出資を受けられるという出資される側のメリットもあります。しかし、株式会社は株式の売買が自由にできるため、自分の望まない人が株主になってしまうリスクもあります。お金だけ出してくれるのであれば問題ありませんが、経営に口を出されることで何のために起業したのかわからなくなってしまうこともあります。法人設立においては、法人形態によってメリットとデメリットがあることをしっかり把握し、自分に合った形態を選びましょう。
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