法人になってしまうと、たとえ社長1人であっても社会保険に加入しなくてはなりません。この社会保険料が負担になるケースが少なくありません。社会保険が控除され所得税や住民税が減ったとしても会社が負担する額は相当なものです。法人と個人で支払う税金が30%を超えるようであれば、個人成りすることで負担減になる可能性が高いです。
個人事業主に比べると法人は税法が複雑です。もともと会計の知識や経験がなければすぐにできるような仕事ではありません。簿記の知識も必要になってきます。小さな会社では経理専任の従業員を雇うのは大変です。そのため税理士に依頼をすることになりますが、費用も大きな負担になる可能性があります。
個人事業主の場合は確定申告をする必要がありますが、法人の申告に比べるとシンプルです。最近では会計ソフトが充実しているため個人でも簡単に確定申告を済ませることができます。税理士に依頼したとしても法人のときよりは大幅に安くなるでしょう。確定申告のときだけお願いしてさらに費用を削減することもできます。
個人成りすると2年間消費税の納税を免除されます。もちろん個人成りする前が課税事業者であっても同じです。たった2年ではありますが、消費税が10%となった現在では無視できない数字ではないでしょうか。
税務調査は法人に比べ圧倒的に個人事業主の方が少ないです。平成27年の実績では法人の1/3ほどになっています。税務署も申告者が増えて対応できない状態にあるようです。多くの申告者から税務調査のターゲットを絞るのも大変なのでしょう。また、最近では確定申告も簡単にできるようになってきており、きちんと申告さえしていればそれほどうるさくないといった状況もあるかもしれません。とはいえ、間違った計算をして適当な申告をしていると税務署に目をつけられることが予想されますので、正しい申告を心がけましょう。
実際に個人成りした人から話を聞くと、個人成りしたことで肩の荷が下りたと答える人が多いようです。前述のようなコスト削減もありますが、事業拡大ばかりを追わなくてもよいといった安心感があるのかもしれません。他にも、従業員がいなくなり家族だけの経営になったり、長年付き合いのある親しい取引先だけになったりしたことから自分の仕事を今一度見直したいという人が多いようです。個人成りは、そうした人にとっては肩の荷をおろし、気持ちを楽にするよいきっかけなのかもしれません。
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個人成りをして個人事業主として仕事をする場合、大きく2つの働き方に分類できます。1つは個人で商品やサービスを提供する個人ビジネスです。店舗運営等はこちらに分類されます。そしてもう1つが業務委託で仕事をする働き方です。個人事業主として企業と業務委託契約を締結して仕事を請け負います。フリーランスのエンジニアやデザイナー、ライターなどでよくあるケースです。
個人成りをするべきか否か検討中の社長へ、3つ質問します。(1)法人でいるメリットはありますか?(2)消費税納付が負担になっていませんか?(3)社会保険料が負担になっていませんか?この中で1つ以上YESがあれば、個人成りするメリットがあるかもしれません。特に消費税や社会保険料が資金繰りや利益を圧迫しているのなら、個人成りで解決できる可能性が高いので詳しく解説します。
不測の事態や不況などの時勢によって、前向きな選択肢として個人成りを検討する社長が増えています。なぜわざわざ会社を廃業して個人成りをする必要があるのか疑問に思われる方もいるかもしれません。個人成りには事業を継続させる上でさまざまなメリットがあるからです。例えば、社会保険料もその1つです。一人社長の場合、法人である以上は社会保険に加入しなければなりませんが、個人事業主になることで負担を軽減することができます。