攻めの「個人成り」

契約や資産の引き継ぎ

契約や資産の引き継ぎ

契約の巻き直し

法人名義で結んでいた業務委託契約や取引先との基本契約は、そのまま個人事業主へ自動的に引き継がれるわけではありません。まずは主要な取引先に対して個人成りする旨を事前に説明し、契約の名義を個人(または新しい屋号)へと変更する「契約の巻き直し」を行う必要があります。
取引先によっては、法人から個人になることで社内の再審査や新たな稟議が必要になるケースもあります。そのため、直前になって慌てて連絡をするのではなく、法人の解散や休眠のスケジュールに合わせて、数ヶ月前から余裕をもって取引先に案内を入れておくのがスムーズに進めるコツです。これまでの実績や信頼関係がしっかりしていれば、個人になっても契約内容をそのまま維持して継続してもらえるケースがほとんどですので、変わらずに誠実な対応を心がけましょう。

法人資産の買い取り

会社名義で購入したパソコンやデスクなどの備品、社用車といった資産は、個人成りした後にそのまま使い続ける場合であっても、法人から個人へ「売却」する手続きが必要です。会社のお金と個人のお金は明確に区別されているため、いくら一人社長であっても、法人の資産をタダで個人のものにすることはできません。
このとき注意したいのが売却の価格です。極端に安い金額やゼロ円で移してしまうと、税務署から適切な取引ではないとみなされ、思わぬ税金が発生する恐れがあります。そのため、一般的な中古市場の価格(時価)や減価償却後の帳簿価格をもとに、法人から個人が適切な金額で買い取る形をとり、売買契約書や領収書をしっかりと残しておくことが大切です。特に、車両などは名義変更の手続きも伴うため、時間に余裕を持って進めるようにしましょう。

インフラや口座の変更

会社の廃止にともない、見落としがちなのがインフラ周りの名義変更です。事務所を借りている場合の賃貸契約をはじめ、水道光熱費やインターネット回線、スマートフォンなどの契約が法人名義になっている場合は、すべて個人名義へ変更しておかなければなりません。契約者変更の手続きには書類のやり取りが必要になるため、早めに各窓口へ確認しておくと安心です。
また、銀行口座についても同様です。法人口座は会社の閉鎖(清算結了)とともに使えなくなってしまいます。そのため、個人成りした後は新しく個人名義の「事業用口座(屋号付き口座など)」を開設し、取引先からの振込先変更の手続きを忘れずに行う必要があります。クレジットカードやクラウド会計ソフトなどの引き落とし先も合わせて変更が必要になるため、あらかじめリストアップして一つずつ進めていきましょう。

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