法人化したときに法務局で登記をしたように、会社を解散し個人成りするときも同じように登記が必要になります。まずは解散の登記をして営業を停止し、会社の資産をお金に変えて負債があれば返済するなどの精算作業を行います。その後、資産が残ったら株主に分配します。そこまでの作業が終了したら清算結了の登記を行って会社が消滅します。清算結了の登記を行うまでは会社は存在したままになります。清算結了の登記をせずに放置すると税務署や社会保険事務所などから連絡があったり、決算月を超えてしまうと決算や税務申告が必要になったりなど手間が増えるのですぐに完了しましょう。
法人はいろいろな権利や債権などを抱えているので、解散登記をしても精算手続き中として存在します。精算手続き中となった法人は残った資産を精算します。このとき、通常の営業活動はできなくなり、清算人が管理運営します。一般的には代表取締役社長が行います。営業活動ができなくなるので、それまでに事業に関連するものはすべて個人に移しておくのを忘れないようにしましょう。
個人成りする場合は、法人から個人へ、所有していたすべての資産を売却しなければなりません。備品、機械、車両など固定資産は通常の時価で法人から買い取らなければなりません。すべての資産を売却して負債の返済などを終えて資産が残った分は株主に分配します。もし、残余財産が資本金を上回ったら法人税を納付しなければなりません。納税や借り入れが残ってしまった場合は、税務署や社会保険事務所、労働基準監督署などに相談します。借り入れについては金融機関に相談しましょう。もし、負債の返済ができない場合は、法的手続きが必要になります。その場合は弁護士費用も必要になります。
「解散」としばしば混同される「倒産」や「破産」について説明します。
「倒産」は、資金が不足して事業が続けられなくなった状態を言います。廃業や解散とは違い経営者の意思で行うものではありません。債務の返済ができず事業が続けられない状態です。「破産」は倒産と同様に債務返済ができず事業が続けられない状態において、精算をする法的手続きのことを言います。破産法という法律に従って債権者に公平に資産を分配する手続きをします。倒産も破産も事業が続けられない状況であることに違いはありませんが、倒産する会社がすべて破産しているわけではありません。倒産するときに債務がすべて返済できていれば破産はしません。
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