そもそも法人化は、取引先との条件で法人である必要があったり収入が増えたりすることで、必要性を感じた場合に行います。法人でなければ事業が続けられない場合を除き、何らかの理由で年商が落ちてきているのであれば、無理をして法人であり続ける必要はないのかもしれません。法人であるメリットがなくなったときは個人成りを考えるべきでしょう。
消費税の免税事業者制度といって、個人事業主は1月から12月、法人は1事業年度の課税売上が1000万円未満、または事業を開始したばかりの個人事業主や法人は消費税を納めなくてもよいという制度があります。法人成りの際にこの制度を利用して、2年間は免税事業者になっていたという人も多いはずです。これと同じことが個人成りでも可能です。個人事業主に戻ることで消費税の納付を免れることができます。しかし、それを理由に法人成りと個人成りを繰り返すようなことをすると脱税の容疑をかけられることもあるので注意が必要です。
最近個人成りした人で一番多い理由です。厚生年金と健康保険、雇用保険、労働保険などの社会保障制度全般を社会保険と言いますが、厚生年金と健康保険の支払い負担がとても大きいのです。サラリーマンなら会社が半分を負担してくれますが、社長であれば全額自分で負担しているのと同じなのです。
社会保険は、全ての法人と、原則5人以上の従業員がいる個人事業主は加入が義務付けられています。なお、飲食業や理美容業などは従業員が何人であっても加入義務はありません。従業員が5人以下の法人の場合は、個人成りすることで社会保険に加入しなくて済みます。社会保険をやめると厚生年金は国民年金、健康保険は国民健康保険へ変更になります。従業員には負担が増えることになるので離職が増えるリスクはあります。しかし、経営者としては負担が減り、会社の利益は増えることになります。場合によっては、年間で200万円も経費削減につながります。社会保険は、加入が義務付けられており、支払い期限もあります。もし期限内に納付できなければ延滞利息を取られて差し押さえになる可能性もあります。社会保険の支払いが原因で資金繰りが回らなくなり倒産になるケースも少なくありません。正社員が増えないのもこの社会保険の負担が大きいことが原因であるという人もいます。非正規社員や契約社員であれば社会保険に加入させなくても済むからです。
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個人成りをして個人事業主として仕事をする場合、大きく2つの働き方に分類できます。1つは個人で商品やサービスを提供する個人ビジネスです。店舗運営等はこちらに分類されます。そしてもう1つが業務委託で仕事をする働き方です。個人事業主として企業と業務委託契約を締結して仕事を請け負います。フリーランスのエンジニアやデザイナー、ライターなどでよくあるケースです。
個人成りをするべきか否か検討中の社長へ、3つ質問します。(1)法人でいるメリットはありますか?(2)消費税納付が負担になっていませんか?(3)社会保険料が負担になっていませんか?この中で1つ以上YESがあれば、個人成りするメリットがあるかもしれません。特に消費税や社会保険料が資金繰りや利益を圧迫しているのなら、個人成りで解決できる可能性が高いので詳しく解説します。
不測の事態や不況などの時勢によって、前向きな選択肢として個人成りを検討する社長が増えています。なぜわざわざ会社を廃業して個人成りをする必要があるのか疑問に思われる方もいるかもしれません。個人成りには事業を継続させる上でさまざまなメリットがあるからです。例えば、社会保険料もその1つです。一人社長の場合、法人である以上は社会保険に加入しなければなりませんが、個人事業主になることで負担を軽減することができます。